よく講演やセミナーで「どうしたら企画の発想力を養えますか」と質問を受けます。
私は、発想力で企画をつくっていません。
ただ、「自分ごと」として必要だと感じたことを企画にしています。
その考え方は、至ってシンプルです。

事例を2つ挙げます。

2016年に福井市内で実施したイベント「こども習い事フェスタ」。園児や小学生向けの学習塾や英会話、ピアノ、ダンスなど30種類以上の習い事の事業者が一堂に集める企画で、無料体験ができるとあって大勢の親子連れが訪れました。出展した事業者の皆さんにも満足してもらったイベントです。これは私の子どもが保育園のとき、習い事に通わせようと思いましたが、子どもに適した習い事が分からず、まとめて体験できる場所があればいいのにと思い立ったことがきっかけでした。

もう一つは、県内の学生たちが、自分たちなりのまちづくりのアイデアを実践につなげていくプロジェクト「学生まちづくり班」。2019年にスタートし、23年現在も続いています。これは大学生がよく何かしらのまちづくり活動を始めたいと相談に来るものの、しっかりと伴走してあげないと実際の事業実施は難しい、とはいえ、自分の会社にボランティアで取り組む余裕はないという問題意識が起点となりました。行政や福井新聞社、福井大学と協力して収益構造をつくり、プロジェクトを立ち上げることができました。

この2例からも分かるように、私がつくってきた企画は、生活の中で必要だと思ったり、他の人に言われて必要だと感じたりしたことを起点にしているだけです。特別な発想力は全く必要ありません。

企画をやると決めた後は、経験から得たノウハウに沿って内容を固めていきます。
主な流れは下記のようになります(内容次第では異なる場合もあります)。

❶企画案の構築
❷収益案の構築
❸需要調査
❹ミニマムで実証実験(やらない場合もあり)
❺実証実験からの課題の洗い出し、内容のブラッシュアップ
❻実現可能性があれば継続実施


余談ですが、収益を意識しすぎると、企画をターゲット層の「需要」ベースでなく、協賛などをしてくれる「企業」ベースの考え方に捕らわれてしまうことがあります。これはよくありません。需要(ニーズ)から企画をつくり、内容に沿う企業(協賛)を絡める方が企画はよくなるし、収益構築も形になりやすいです。企業ベースの視点から入ると、企画がよいものになりにくいです。慣れてくると企業ベースでも企画がまとまることはありますが、かなりの経験が必要です。


企画の始まりはいつもシンプル。「自分ごと」であることが重要です。

相談を受けるとき、ネットや本などの情報だけを基にした企画はチグハグなものが多いです。以前に学生が授業の一環で相談に来た際は、企画の内容が全く訳が分からないものでした。経緯を尋ねると、先生に好きなことを3つ考えて、それらを合わせると新しいコンセプトが生まれてよい企画が出来ると言われたそうです。複数の要素が絡み合うことで学生は混乱し、イメージ湧かなくモヤモヤしていたとのことでした。その学生には「自分のやりたいを一つに絞って、それをシンプルにやろう」とアドバイスすると、喜んで帰っていきました。

これらのエピソードからも分かる通り、企画のスタートにノウハウはありません。
純粋に自分のやりたいことをやるだけです。
ノウハウはやりたいことが決まった後の事業構築で使うものです。

人それぞれ考え方が違います。
全ての方に賛同される企画なんてそうありません。
あなたがよいと思うなら、必ず共感する人はいます。
共感する人数が少ないことは、悪いことでは全くありません。
そういった企画ほど内容がコアで、似た事例が少ないので、参加者の満足度が高くなる傾向にあります。

音楽フェスの企画を思い浮かべると分かりやすいでしょう。

■企画の対象者数
音楽フェス>ロックフェス>特定のアーティストのフェス
■参加者の満足度
特定のアーティストのフェス>ロックフェス>音楽フェス

企画のスタートに不正解なんてありません。
シンプルに、自分がやりたい企画をやればよいのです。


この記事はノウハウの一部を簡潔に紹介しております。
手法・事例の詳細は文字では全て書ききれない為、省かせて頂いております。
伴走支援では、プレイヤーの事業を通してノウハウを活用し支援・育成を行っております。