私はクライアントにとって良いと思わないものは、オススメしません。
はっきりと「メリットないと思います」と伝えます。
営業は、クライアントへの「提案」だと思っています。
売りにいってはいけません。
クライアントにメリットがある事が最重要です。
単発でだまして売る事は簡単です。しかし、それでは関係が長続きしません。大事なのは短期的な利益ではなく長期的な利益。そういう考え方に立てば、クライアントに良いと思わないものを売りに行く行為はナンセンスになります。

ただ、自分が良いと思った提案が、相手には良いと思われない事も多々あります。
企業によって考え方、方針はバラバラ。どれも間違ってはいません。
また企業側に良いと理解を得られても決算や企業戦略のタイミングなどの理由で採用されないこともあります。提案内容が悪いとは限りません。

提案する際に重要なのは、提案した企画のクライアントの「使い方」です。

クライアントに企画内容を表面上説明できても、クライアントが企画をどのように使いこなすかまで説明できていないことが非常に多いです。

多くのクライアントは、普段の仕事ではなじみが薄いまちづくりプロジェクトの話を聞いても直ぐには、どのように使いこなして自社に役に立つのかまでイメージが湧かないことがほとんどです。イメージ湧かなければ、お金を投じて実施しようとは思いません。
使い方まで提案して相手側が具体的なイメージを抱ければ、成約率はかなり上がります。

例えば、まちづくりプロジェクトで製作するフリーペーパーへの掲載(広告)を住宅会社に提案するとしましょう

営業スタッフ❶の場合
「2万部を地元の住宅のポストに投函するのでターゲットに届くフリーペーパーです」
「A4サイズで、1ページ10万円です。地元の住宅会社2社限定で募集しています」 

営業スタッフ❷の場合
「2万部を地元の住宅のポストに投函するのでターゲットに届くフリーペーパーです」
「実は私が住宅を買うとき、木材を無垢材か集成材か迷いました。先日友達からも同様の相談を受けました。住宅購入を考えている人にとって興味あるテーマなのかなと思いまして『無垢材vs集成材』という企画を考えてきました」
「内容は、地元の住宅会社さんの住宅をツアーして周り、無垢材、集成材のメリットデメリットを説明してもらう企画です」
「一般公募で住宅購入を検討している方5組に住宅ツアーを行って、その魅力と感想をフリーペーパーで発信するという内容です。すでに私の知人2組は必ず参加すると言っています」
「残りの参加者を集めるために参加特典として〇〇を付けてお持ちかえり頂こうと思っています」
「貴社は、無垢材にこだわっているとHPで拝見しました。この企画にご興味あればと思い伺いました」
「無垢材の良い点、貴社の施工写真、こだわりをフリーペーパーで発信して頂き、PRに繋がればと思います」
「ツアーの参加者5組とも接点を持てるので、住宅購入につながる可能性もあります」
「A4サイズで、1ページ10万円です。地元の住宅会社で無垢材1社、集成材1社限定で募集しています」 
 
どちらの営業スタッフもフリーペーパー2ページの掲載を10万円で提案しているわけですが、❷のようにクライアントがどのようにフリーペーパーを使うのかまで説明できるとイメージとメリットが伝わり、契約につながりやすくなります。 

では、提案はどのように考えれば良いのか?
難しくはありません。 
日ごろから自分や周囲のニーズにアンテナを張り、そこをヒントに提案を作るだけです。 
またはいろんな業界の人にヒアリングをしてみるのも良いでしょう。 

クライアントを知ることも重要です。
クライアントのHPには会社の「特徴」「提供商品」「理念」「歴史」「社長情報」「求人募集」などが掲載されているので、会社の強みやニーズを知ることができます。
更に、そこから相手の業界を調べることで提案内容の質が向上します。

私は色々なビジネスモデルに興味があるため、日ごろからネットサーフィンで調査しますし、クライアント先で色々と業界の事を質問します。 
そのおかげで様々な業界のビジネスモデルや知見が増えたので提案内容の質が向上しました。

フリーペーパーの例を続けます。
【不動産紹介ページの場合】
福井県内の不動産業界のビジネスモデルは、多くが手数料上限が3%+6万。
自社管理以外の物件を紹介すると、相手の管理会社から手数料を折半してもらえるケースもあるから、営業先は1社限定として多くの管理会社の様々な物件を紹介する提案をしよう。掲載料は1ページでなくて2ページ特集でも採算が合うので、2ページを使ってしっかり伝える方が良いだろう。

【カレー特集のページの場合】
福井県内はカレー専門店が少なく、カレーが有名な飲食店は専門店ではなく、喫茶店や食堂などの違う業態の店舗の1商品であることが多い。 
カレーの単価は低く、専門店ではない事からカレーを広報しても店側が得られる効果(利益)は低い。そうなると、それほどの掲載料は出せないから、1ページを6分の1スペースに分割して紹介し、1店舗当たりの単価を下げた方が良いだろう。

これらのように各業界の知見があれば、戦略が変わります。

売り込むのではなく、提案をする。
提案とは、クライアントが企画の「使い方」までイメージできるかが勝負です。
身体に染み付かせるのには時間がかかるかもしれませんが、常に意識を持つと良いでしょう。


この記事はノウハウの一部を簡潔に紹介しております。
手法・事例の詳細は文字では全て書ききれない為、省かせて頂いております。
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